後退と前進

僕には所謂「B級、チープ、負け犬、ゴミクズ、ショボい」と呼ばれる退廃的なものを好む傾向がある。この文章を捻り出している今もネオアコの大御所Aztec Cameraの2ndアルバム、「knife」に収録されている「backwards and forwards」をリピート中だ。英語は良く分からないけど「後退と前進」という意味でしょう多分。哀愁漂うアコースティックサウンドにロディ・フレイムのこれまた哀愁漂うボーカルがこの曲にこれでもかと哀愁を漂わせる。とにかく哀愁が漂うとしか言えないボキャブラリーが乏しい頭の足りない僕ですが、これだけは言える。哀愁が漂っていると。

ラストでは「永遠に…永遠に…」と感情たっぷりに歌ってフェードアウト。ここからのリピートが恐ろしい程効果的に働いている。なんとこの曲はフェードイン気味に入ってくるのだ。フェードアウト→フェードインの何とスムーズな事か!「死んだ者が墓場から蘇り、血肉に飢えたゾンビとなって人々を襲う」ようなものとはまた違った恐怖を覚える。一般的にゾンビとはのそのそとほっつき歩いて人肉を食らう元死者、映画などの人為的なものの中だけの架空の存在であって、実在したら怖いなぁなんてもの。だがこの「後退と前進」という曲は確かに存在している。実在しないものと実在するもの、どちらに恐怖するか?一概には言えないが、ほぼ後者だろう。かのエド・ウッド監督の映画「怪物の花嫁」の大巨漢トー・ジョンソン演じる博士の助手であるロボ(ロボットではない)と、目の前の包丁を持った麻薬中毒者を比べれば分かり…やすい。しっちゃかめっちゃかぐっちゃぐちゃの文章になったが、僕が言いたいのは、Aztec Camera最高。