あんた信じ難いよ、ほんま。

疑い癖があって、これは困りごとである。例えば他の人が私に善き事をするならば、取り入って何をするつもりだ、欺瞞だと裁定し、他人など信じられぬのだ。
  

これは困りごとである。どういう風に困るかというと、外出時に自宅が燃え、大家なり近所の連中が「さささ澤田さん家が燃えてますよ!」と電話を掛けてくるのだ。そこで疑い癖のある私は「なんだ、つまらない冗談は止して下さいよ。ではでは」とか何とか云って電話を切る。そしてそのまま居酒屋やバーやスナックに行き、こんな事があったんだよとグラス片手にへらへらし、次第に良い心地になって家に帰って寝ようとすると、無いのだ。家が。すっかり酩酎している私はわははと笑い、大家なり近所の連中に「家が無いんですけども、どこに隠したのかな~?」と連絡を取る。すると、一体どこへ行ってたんだ、あほじゃないか、屑じゃないかと罵倒され、我が親友のPC、会社の書類は灰になり、というか家そのものがなく、路頭に迷うのである。

  

この他にも、電気代を払え。さもないと止めるといった旨の通達が来たとする。これも疑い、どうせ嘘だろと無視し、そのまま居酒屋やバーやスナックに行き、こんな事があったんだよとグラス片手にへらへらし、次第に良い心地になって家に帰って電気を点けようとすると、点かないのだ。電気が。すっかり酩酎している私はわははと笑い、電力会社に電気が点かないんだけど、と連絡を取る。すると、電気が欲しけりゃ金を払え、まぬけ。ちんどん屋などと罵倒され、パソコンも使えず、こんなとこにはおれんと路頭に迷うのである。


  これらは序の口で、他にも酷いのが思い付いたが、段々嫌気が差して来たのでこの位にしておく。それなりには他人を信じたいものだ。